P2Pモデルのクラウド・ファンディング法が下院を通過、本年は上院での審議へ
President & CEO 鈴木 奏
米国では、2011年初よりWebサイトやソシアル・メディアを活用して多数の投資家から小額の資金を集める「クラウド・ファンディング」が注目を集めています。現行法ではこれが違法となるため、証券取引委員会(SEC)では、除外規定を設ける方向で検討を開始しており、議会でもクラウド・ファンディングを認める法案が昨年11月に下院を通過して、本年度の上院での審議が待たれています。
■ クラウド・ファンディングは"違法"
米国では、貸付の分野においては、レンディング・クラブやプロスパー・ドットコムなどのP2Pローン・サイトが数年前に出現しているが、昨今、その株式版と言える「クラウド・ファンディング:小額の投資資金を多数の投資家から募集する」に注目が集まっている。
ただ、1930年代に制定された現在の投資資金の募集に関する法律は投資家保護や詐欺防止を目的とした以下のような規定があり、ソシアル・メディアやWebサイトを使って小額の資金を募集するクラウド・ファンディングは事実上不可能となっている。
(1)資金を公募する際は、募集金額にかかわらず事前登録が必要であり、その事務コストは最低でも2万ドル程度必要となる。
(2)日本の私募債と同様、勧誘先を数十人に限定する場合は除外規定がある が、 Webサイトでの募集には適さない。
■ クラウド・ファンディング法案
2010年、カリフォルニアの民間団体が証券取引委員会(SEC)に対して、ネットを活用したクラウド・ファンディングを、募集総額を限定する形で法律の適用外とするよう要請したのをきっかけに超党派の議員がこれに賛同し、2011年春にはSECが検討を開始する旨を表明した。
「Entrepreneur Access to Capital Act」は、調達総額が100万ドルまで(所定の監査を受けた財務諸表を提出すれば200万ドルまで)、かつ投資家一人からの調達額が1万ドルか所得の10%以下の少ない額を上限とすれば、ネットを活用した資金調達を可能にしようとするものだ。同法案は米連邦下院では、2011年11月に賛成407票/反対17票の圧倒的多数で可決され、本年、上院では「Democratizing Access to Capital Act」として審議されることとなっている。
■ 詳細検討も必要
ただ、実施までには詳細のつめが必要な項目も多数あると考えられている。例えば・・・
(1)資金を募集する際には、企業側は最低どのような情報を公開する必要があるのか。募集価格はどうして決めるのか。
(2)出資者の権利は何か。取得した株式を転売できるのか。売買市場はあるのか。
(3)詐欺や株価操作を防ぐルールをどう取り決めるか。
(4)上記の諸ルールを監視する組織はどうするのか。
オバマ政権でも、多数のベンチャー企業が育てば雇用面にもプラスがあるとして同法案を積極的に支援する姿勢を示している。米国のクラウド・ファンディングに向けた制度整備が今後どのように進むのか、その動きに注目しておきたい。
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